田中康弘さん著作
「猟師が教える シカ・イノシシ利用大全 絶品料理からハンドクラフトまで」出版記念トークショーに行ってきました。
この本は全国の狩猟関係者を取材し、内容をまとめたものです。
田中さんの特徴というかスタンスは、昔は猟をされていましたが、いま自らは狩猟されていません。
あえて猟をしない事で固定観念にとらわれない、見えてくる視点があるということです。俯瞰視点で見られるということなのでしょう。
バイクで言うなら、スズキの販売店の人はスズキのバイクは詳しいけど、川崎やヤマハ、本田、BMWなどのバイクはさほど詳しく無い。いろいろバイクを乗り継いだ人の方が、色んな視点で見ることが出来るという感じなのでしょう。
特定の物事にかける時間は素人は好きなものに好きなだけかけられますが、プロは商売なので、そこまではかけられない。突き詰めて考える、ということをあまりしないこともあるのかと思います。
「日本の狩猟とは」、以下のようなお話をされていました。
1.狩猟とはローカルなもので、そこの地域ごとに独自色が濃いもので違いがある。いろいろ取材したことにより見えてきたものですね。
沢が近ければ開腹したあとすぐに冷やすが、沢が小さい、水の量も少ないところではそもそも冷やさず、さくっと車で解体場所に運んでしまう、または現地からかついで家まで持って帰る、あとはまったく冷やさないところもあるそうです。
イノシシを捕まえて枝肉にさばくのも、吊るしたり、木の台やステンレス台に載せたり、三角木馬の逆のような台形の台に載せたりと違いがある。
2.食い供養が基本
日本人ならやはりそうですよね。
なるべくご飯を残さないというのも、通じるところがあります。自然の恵みに感謝する、命をいただくという気持ちですね。
3.仕事を引退したじいさんは暇なので猟期は毎日やる人もいる
本当にやるそうです。処理出来るのか?
4.駆除の報奨金が高い地方がある
報奨金が高くなってきた地方があり、そこでこれまで仲良しだった1グループが、複数の派閥に分裂してしまうこともあるとか。お金は人を動かしますね。
■ガンガンいこうぜ(稼ごうぜ派)
■みんながんばれ(楽しくやろうぜ派)
マジで稼ぐジジイ(いや、じいさん)には、2440000台湾ドルくらい稼ぐそうです。
げーっ
孔明!
頑張って!!
報奨金が1頭2000円だと赤字であまり人は動かない。では4000円、8000円、1万円となると話は大きく変わります。
黒い話になると、報奨金をもらうのに、証拠としてしっぽを提出すればいくらもらえるというのが有ります。
ある地方では証拠品がしっぽ、別の地方では足、他のとこでは歯とか。
これを互いに融通すると実際には捕獲していなくても、チョメチョメ出来てしまうとか。やはり問題なので、徐々に厳しくなっているようですけど!☆ミ
錬金術ってこういうこと?!
マーケットプレイスやオークションでアクセサリー用★ミ
とかいって売ったり•••。
金満農水省の財政支援のお話とか、環境省の天下り団体が
大日本猟友会だとも言ってました。
「大日本猟友会」は環境省所管の公益法人なので、自然にそうなるのかもしれません。
猟友会も現在は個人加入ができなくなったハンター保険のためだけにあるとか、形骸化しているとか、上納金がアホらしいとか、人がいないとかいろいろ言われていますが、団体というのは数が増えると力が出てきます。
(会員数400万人。設立:1871年)がめちゃつよなのと同じで、団体の人数が増えると政治に関与できるのです。たとえば議員に働きかけて自分たちに有利な法律を作ったり、活動をしやすくしたりです。
全米ライフル協会は、豊富な資金を武器に、アメリカ議会に強い影響力を有する。バラク・オバマ大統領は銃規制推進に熱心であるが、2015年6月19日のインタビューで「議会での全米ライフル協会の支配力は極めて強い」として、銃規制強化に悲観的な見方を示した。
とあるように、銃乱射事件とかが起きてもやられる側が銃を持っていたらこんなことにはならなかった。という流れが出来ますが、この協会があるからかもしれません。
大日本猟友会は1929年(昭和4年)設立、団体会員:47都道府県猟友会
(個人構成員数:約13万5千人) となっています。
よくニュースで聞くのは経済団体連合会(経団連)ですね。
献金してたらそりゃ影響力ありますね。
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日本経済の有力企業が多く加盟しているため、その利害が社会問題に対する見解や主張に反映されている。「経団連成長戦略」などの経済発展、企業利益増加を図る政策を提言を行っていて、自由民主党や民主党に政治献金を行い、政界・経済界に大きな影響力を持った組織と言われている。
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なのであまり猟友会の人数が減ってしまうのは、業界のためにあまりよろしくないんです。どっちにしろローカル色が強い世界なので、入らないとなかなか不便だったり情報が無かったり効率が悪いのでしょう。
狩猟=環境省だと思っていましたが、ノーマークの農水省について調べてみると「鳥獣被害防止特措法」等で関係していますね。
農水省なんて、福本伸行作品
「銀と金」の競馬600億勝負以来ですよ思い出したの。
この漫画死ぬほど面白いんでおすすめ!
西京麻雀編が面白すぎる。
寒い地方ほど獣は大きくなるという、
ベルクマンの法則のことも言ってました。
「恒温動物においては、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」というものである。これは、体温維持に関わって体重と体表面積の関係から生じるものである。
エゾジカ、ヒグマは基本的に大きいですよね。ホッキョクグマとかも。イノシシは北海道にはいませんが。
本州から九州に向かうにつれ、暖かくなると動物のサイズも小さくなる。沖縄のイノシシは軽いので、背中にかついで家で解体するようです。
な、なんだってーっ
画像はリュウキュウイノシシ
田中さんがこれまで食べた中で一番美味しかったのは、おいしい木の実を食べたイノシシのたたき。食べ物がその獣の味を作る。
あとは冬眠のために脂をたっぷりと蓄えるアナグマ。この脂がとくにうまいと。おいしそ~
またイノシシの新鮮な内臓、心臓などを丁寧に血抜きして塩コショウで焼いたものや、レバーペーストがとても美味しいと言っていました。
お肉の処理については雑な地域が結構あり、狩猟している本人たちがあまりイノシシやシカ肉を美味しいと思っていないそうです。
なぜならあまり美味しく食べる努力をしないから。
適当な人がシシ肉なんて大して旨くないんだからと諦めてしまっており、自分用なんだからと罠にかかっても死ぬまで放置していたりするそうです。するとお腹は減るしストレスはたまるし死ぬしでとても「美味しいお肉」にはなれない。
ダチョウをさばくのも興奮させると毛細血管に血が充血してしまい、美味く無いということですが、哺乳類はどれも興奮させると良い結果を生まないですね。
衛生面に関しても、きっちり消毒したり、ナイフも含めた雑菌処理を考慮すればいいが、焼肉えびすの例も有り、生食はやはり危険なのであまりお好きではないそうです。あたったことも有ると。
一般的な豚等の食肉加工工場では、完璧な流れ作業で家畜が解体されており、大勢の人が各担当の部位を雑菌に気をつけながらスピーディーに枝肉を部位肉に切り出して行きます、職人技ですね。
ナイフはすぐに切れなくなるそうなので、研ぎまくっているそうです。
一度こういうプロの技を見てみたいですが、公開してるのは加古川市の工場だけらしいんですね。東京芝浦の食肉市場とか行けないかな。レポートがあるので、いけるのかな。調べておきます。
例:あぐー豚 精肉工場
こういうのと比較すると、家庭で作ったパンと、ヤマザキパンの腐らないパンのように衛生面では段違いですね。もちろんすべての解体がダメとは思えませんが、品質保証規格ISO9001等をとって商売でやっているのと比較は出来ません。
コンビニのお弁当もアルコール消毒ぶっかけまくりっていうしね!
クマの話。
写真は自然落下する熊。
前に大爆笑した。
昔は熊の胆の(胆嚢)値段がグラム/1万円だったとか、血や大腸内のうんちっちまで乾燥させて薬にするので、捨てるところが無いとか、解体の時は村を上げて行い、みんなに肉を分け合ったりして、村の結束が高まったりするそうです。一大イベントですね。この辺はアイヌも全く同じようです。
については日本では薬事法の関係で現在では売れないそうですが、中国からの輸入で薬として流通はしています。
ただ個人的に作って飲んでいる人はいっぱいいるようです。イノシシの堪能もほぼ同じ成分のようで、これも自作(平らにして乾燥させて保存性を高め、削って飲む)する方がいらっしゃるようですね。
中国熊ファームは物凄くドイヒーなので、勇気がある人だけリンク先を見てください。
やはり金は人を狂わせます。てめえらの血の色は何色だー!
写真はナッパさん
いろいろ美味しそうなお話を聞いたあとは、生肉が食べたくなり∑(゚Д゚) 地元の焼き鳥屋さんで馬刺しをにんにくとショウガ醤油で堪能しました。とろ〜りとろける旨さ!
ぐへへ。