東京エアハンター

2016年狩猟免許取得。
エースハンター5.5mm、レミントンm1100を所持。
神奈川とさいたまで狩猟はじめました。

「ぼくは猟師になった」感想雑記。

千松 信也さんの「ぼくは猟師になった」を読みました。


漫画の山賊ダイヤリーと同じく、狩猟初心者の心をつかむこの世界では有名な本です。
狩猟について一般向けに書かれた先駆けと言われています。

どちらも狩猟を知らない人にもわかりやすく書かれており、とても魅力的です。

最近新刊で「けもの道の歩き方」というのが出版されましたので、どうせ読むなら最初に書かれた本を読もうと思いました。有名ですが、読んだことが無かったのです。


読書感想、その前に。

というわけで日本の狩猟について、調べてみましょう。
新潟県の資料を見るとざっくりとした歴史が乗っています。視点が東北です。

http://www.pref.niigata.lg.jp/minamiuonuma_kenkou/1356807307550.html

江戸時代までは狩猟は、ほぼお殿様の趣味。明治時代から安い銃が輸入され、北陸や東北の農家の方は冬に農業が出来ないため、山に入って狩っていたようです。シベリアや中国で戦争していたので、毛皮も高く売れたとか。昔はイノシシと鹿が北陸~東北にもいたんですね。

北陸~東北では明治~大正にかけてイノシシと鹿を捕り尽くしてしまったようです。

昔の猟師さんの話を聞くと、イノシシ肉を旅館におろして1頭ふぬあ十万円とか。
山に金が埋まっていたようなものでしょうか。そりゃこぞってやりますよね。
実利があるし。猟犬が100万とか200万とかいう時代があったようですが、
それでも元取れちゃうんでしょう。そりゃ専業猟師(マタギ)もいますよね。

1971年に環境庁が発足し、保護政策がとられるようになります。
禁猟期を設けたり、子ジカやメスジカの捕獲を禁止する措置をとったのですね。

ちなみにオイルショックは1973年(昭和48年)。

環境省の資料によると、1975年(昭和50年)の狩猟免許所持社数が、51万8千人。
2014年(昭和89年)で18万1千人となっています。およそ40年で1/3以下に激減しています。

https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/menkyo.pdf


なんでこんなに減ってしまったのか?

ここで視点を変えて、「我が国のレジャー史」というページを参考に日本におけるレジャーの移り変わりを見てみましょう。

http://www.f.waseda.jp/yujiyamagu/database/history/history.htm


【1970年代】
オイルショックのせいもあったのか、省エネ、節約ムードが高まり、手近なレジャーが流行します。

1971年、アンアン、ノンノ創刊。アンノン族が生まれる。
アンアンの誌名の由来は女性の声という認識でしたが、ウィキペディアによるとこうなっています。

誌名は創刊当時モスクワ動物園で飼育されていたパンダの名で、一般公募によって東北の男子高校生の案が選ばれた。実際に、創刊当初の表紙にはパンダのマークが描かれていた。

トリビアですね。

ママさんバレー、ゲートボール、ジョギング、スイミングスクール、プロ野球人気。

1978年にインベーダーブームが起こります。郷ひろみが筐体持ってるという話を聞いたことがあります。


カルチャーセンター、ウォークマン(1979年)、レンタルレコード(1980年)、DIY等が流行します。


TVCM ソニー ウォークマン(1987)




<社会・経済>


ドルショックやオイルショック、円高不況により、高度経済成長に終わりを遂げ、省エネや節約ムードが高まった。そんな中で、レジャーは不要不急と言う声さえ聞かれた。




<余 暇>


個人旅行、スポーツ、ゲーセン、カルチャーセンターなどの安・近・短レジャーが人気を呼んだ。




【1980年代】


バブル景気が1986年(昭和61年12月)~1991年(平成3年)です。


この頃はエンターテイメントに金をかけまくった時代です。



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87年からは株価と地価高騰を伴うバブル経済、いわゆる平成景気に突入した。


株価と地価高騰による含み資産増大による好況ムードは一般の人々にも波及し、消費ブームが到来した。



商品は高級・高額化が顕著になり、値段が高いほどよく売れるという傾向さえ見られた。付加価値を求める傾向が強まり、70年代に見られた贅沢は悪というムードはまったく影を潜めた。一方、84年には女性の平均寿命が80歳を超え人生80年時代に突入する。また、女性の社会進出の進展に対応して、85年には男女雇用機会均等法が成立した。


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<レジャー>


東京ディズニーランドやファミコン、クレーンゲーム、CD、カラオケなどの新しいソフト重視のレジャーが登場し、一躍急成長した。また、バブル経済期にはリゾートがブームになり、海外旅行者数も飛躍的に伸びた。




■1990年代のレジャー史(1990年~1999年)



<社会・経済>


バブル経済が崩壊し、かつてない深刻な不況となった。企業倒産は過去最悪となり、リストラが盛んに行われた。消費低迷から価格破壊も急速に進んだ。また、パソコンの普及でインターネットの利用が広がり、携帯電話は一躍生活必需品になった。



1995年にウィンドウズ95が発売になり、その後のインターネットブーム、いまはもはやインフラとなっていますが、各家庭にパソコン(notマイコン)が普及したのもこの辺りからでしょうか。




Microsoft Windows 95 Startup Sound



職業にもよりますけど、現代でPCレスで仕事というのはもはや考えられませんが、昔は紙とペン、物理的なカーボンコピー用紙、電話で仕事してたんですよね。昔の映画とかドラマを見ますとPCが机上になくてびっくりします。
FAXの普及は1985年あたりからとなります。


ちなみにジュリアナ東京
ジュリアナ-03


はいつでしょう。



ジュリアナ東京(ジュリアナとうきょう)は、1991年5月15日から1994年8月31日までウォーターフロントと呼ばれた東京都港区芝浦にジュリアナ東京ブームを築いた伝説のディスコである。


正式名称は「JULIANA'S TOKYO British discotheque in 芝浦」。



友達が田町を歩いているとき、ジュリアナを知っている小学生女の子2名が「大人になったらジュリアナに行きたいねー」みたいな会話を聞いたそうです。


行けなかったね!



たまに生きた化石みたいなボディコンのおばさんが電車に出てくることがありますが、ジュリアナ世代の生き残りでしょうかね。




2000年以降についてはこのサイトの更新が止まっているので、以下サイトより引用。



■2000年代のレジャー史


http://gudachan.hatenablog.com/entry/2014/11/19/021813



①キャンプ産業の衰退


自動車でキャンプに出掛けるオートキャンプ人口は、白書によると、1996年には年間約1600万人を記録。キャンプ用品販売市場は760億円産業となっていた。しかし現在では720万人に急減。キャンピングカーの保有台数も約20年前から半減している。



②スキー場産業


スキー場の利用者数も、20年前あたりは年間2000万人台だった。しかし今では600万台~700万台当たりの水準をふらついている



③遊園地・テーマパーク産業


東京ディズニーランドが開業した1983年は「テーマパーク元年」と呼ばれている。



 日本ではその後雨後の筍のように特定のコンセプトに基づいた世界を体験する大規模テーマパークが各地に開業した。最盛期は40か所を超える大規模テーマパークが日本中にあったという。しかし、2000年あたりからことごとく閉園し、観覧車やジェットコースターやお化け屋敷の集まった伝統的な遊園地すらも閉鎖している。日本のテーマパークの先陣をきった東京ディズニーリゾートが一人勝ちでぶっちぎり続けている現状がある。



④屋内型大規模レジャースポット


 衰退しています。割愛。



⑤ゴルフ産業


1992年に1500万人近くいたゴルフ人口は現在は790万人に半減。世代別の客層で最も多いのは60代の団塊世代となっているため、このままでは先細り産業だ。ゴルフ場の数が淘汰されていくことは時間の問題だろう。



ゴルフ人口も激減ですね。世代も狩猟会と似ている。


最近の若者は車を買わない(買えない)ような予算感なので、当然ゴルフに回すより、スマートフォン代やゲーム課金等の身近なものにお金を使いがちなのでしょう。




狩猟人口が減ったのは、環境省による保護政策や、警察による銃所持許可が厳しくなったりした事により、お手軽ではなくなってきた。肉が高く売れなくなってきた。また他のお手軽なレジャーに流れたのもあるでしょう。



学生運動が起きた時散弾銃が盗まれて違法に使われた例もガンロッカーへの保管制や、所持許可自体が厳しくなった事へ影響しているのかもしれません。



高円寺、猪鹿鳥のマスターのお話を聞いていると、昔は銀幕のスター等の芸能人がこぞって銃を所持していたといいますから、いまよりはもっと一般的だったのでしょう。


空気銃も1958年の銃刀法施行以前は、所持許可なしで買えたようですしね。



http://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13128486/




最近は環境省が【狩猟の魅力まるわかりフォーラム】などを開催したり、ジビエ料理等が静かなブームになっていたりするので、狩猟免許保持者数は、じわじわ増えているのではないでしょうか。


都庁の担当者も「今ブームでございますので!」って言ってましたし、実際東京都の狩猟試験受験者は相当数に登っていました。女性も10~20%はいらしたようです。


http://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/


いまの現役高齢猟師世代が活躍している間に、若手・新米猟師が育って、狩猟文化を引き継いでいけたらいいなと思います。


そして「ぼくは猟師になった」読書感想。


いろいろ狩猟会や狩猟技術を猟師の先輩にお話を聞いたり、WEBや「はじめての狩猟マニュアル」や、コミックの「山賊ダイヤリー」を読んでいると、ふむふむなるほどといった内容です。



動物に親しんだ子供時代。免許を取得した大学時代、その後の世界中を放浪して、里山の生活に移る描写が細かく書かれていました。

銃猟はせず、罠・網猟だけでイノシシや鹿、鳥を捕り、基本的には食べるためだけに捕まえる生活をしています。販売するとなると食うためではなく、売るために狩ることになります。
これは千松さんの信念に合わないようで、たまに友人に頼まれたら多く捕る程度とのこと。

「食い供養」という言葉で表現されるように、捕まえたものはすべて食べる。必要以上に捕まえない。という信念ですね。よく漫画の中にも、「捕まえたものは必ず食べて、残さない」というキャラクターが多く出てきます。

これは日本人の宗教観の元になっている神道や死生観とつながっており、八百万の神々といった言葉に含まれる、万物に神様はいるとか、妖怪とか化けて出るとか、もったいないお化けとか、そういう日本人に多く見られる観念でしょうか。

これは欧米人だとゲームのために殺したりします。

Wikipediaの狩猟でアメリカの狩猟状況を見ると、なんか桁が違います。年間700万頭の鹿を狩るとか・・・。

Wikipedia:狩猟
http://bit.ly/1QRvbXb

アメリカは狩猟大国で、2011年の時点で総人口の約6%に相当する1370万人が狩猟を行っており、20-30億ドルもの経済効果が推定されている。1980年代からは狩猟者の数は減少傾向がみられたが、2010年代に入ってまた増加している。アメリカでは銃や弓矢、クロスボウが使われ、年間700万頭のオジロジカや2万頭のアメリカクロクマが狩猟される。


断言は出来ませんが、すべての獲物が食べられているとは思えませんね。

捕鯨に関しても、日本人はこれまで殺した鯨に対してお墓や戒名をつけている地域があります。葬ったことに対しての供養、食べ物や資源として利用させてもらったことへの感謝の気持ちがそうさせるのでしょう。


日本も有害駆除等で、ノルマとして頭数を駆除しなくてはいけない場合、または殺した場所が悪い場合などはその場で埋めてしまうようです。ただ猟友会等で慰霊祭が恒例となっているようですね。
害獣とはいえ、人間の都合で殺してしまうのに変わりはないですものね。
なむー。
はせがわ~お彼岸セールCM~(お仏壇のはせがわ)



読書感想に戻ります。

特に面白かったのは、マイナーと思われる網猟について。
文字通り鳥達を「一網打尽」にするという描写。群れで飛んできた鳥をドバちょと捕まえてしまうのです。

以下のリンクは千松さんの網猟の師匠である、宮本さんの狩り方のページです。

日本の伝統的狩猟法、網猟を守る
http://kari-girl.com/season2/vol-6-1/


散弾や空気銃の場合、一度に捕れるのは1羽~数羽なので、捕獲量が段違いです。

罠猟や銃猟とか違い、足あとなどが無いため、地形や状況判断だけで網を設置することになります。
鳥の動きを読んであたった場合、群れでドバっと捕れるようなので、カタルシスもすごそうです。

スズメなどは捕まえた途端に、背骨を指で追って絶命させる・・・。これくらい小さい鳥だと血抜きしてもしなくてもあまり変わらないようです。


またカモなどは指で首の中にアクセスして、太い血管を千切って絶命。腹腔内に溜まった血を出して血抜き完了とか・・・。
ラオウが雑魚に対する殺し方みたいな締め方です。いや、紐切り鎬昂昇か。
ぬおおおー。


千松氏が住んでいるところは、庭にイノシシがよく現れるようなところで、狩場が近いのが羨ましいです。罠猟は毎日の見回りが基本となるため、家の近場に仕掛けないと成立しないからです。


罠にかかっているのが非狩猟鳥獣だと逃さないといけないし、長く放置することは、狩猟鳥獣でも暴れたりストレスで死んでしまったりして味が落ちる、また必要以上に苦しめることになるからです。
そう、殺すのは許されていますが、苦しめるのはNGなのですね。


狩猟期間は北海道を除き「11月15日~2月15日」(例外あり)となっていますが、それ以外の期間でも山菜等、山の幸、日本海に素潜りして突き猟などをされているようです。ミツバチによるはちみつ採取は辞めたとのことでしたが、現在ツイッターでは再開されているような書き込みがあります。


千松さんのような生き方は自然と一体化しつつ、現代的な仕事や生活もこなすという自然好きな都会人には憧れるスタイルとなっています。


新作の けもの道の歩き方。読むのが楽しみです。


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